【コラム③】なぜトレーニングが必要なのか〜トレーニングの立ち位置とは〜

トレーニング

トレーニングの立ち位置

皆さんの競技生活において「トレーニング」というものは、どれほどの重要度に位置づいていますか。

私個人の感覚としては、「なくてはならないものだけど、最悪なくても問題ない。」程度のものです。

アスリートはトレーニングしないといけないという固定概念に縛られる必要は全くありません。
競技選手の本業は競技です。極端な言い方をすると、トレーニングしていなくても競技において満足のいく結果(内容)が出れば、何も問題ありません。

ごく稀にそう言った天才型の選手は現れます。

しかし、大半の選手はそうではなく、地道な基礎練習の反復に加え、基礎体力の向上、バランスの取れた栄養、質の良い休養により、ようやく一流の選手へと近づいていくことができます。

競技における技術(競技スキル)は、特異的動作と基礎体力の上に成り立っていると考えています。(図1)

図1

Skill(技術)」は、競技における技術を指します。競技選手が最も重点を置くべき項目です。

Specific(特異性)」は、競技と基礎体力を繋ぐ項目になります。競技特異性に考慮した動作を取り入れていくトレーニングが基本となります。

Base(基礎)」は、基礎体力を表します。人間の基礎動作をベースとしたトレーニングにより、筋力・持久力・心肺機能・瞬発力などを中心に鍛えていきます。ジムなどで鍛えられるのはこのベースとなる項目が主です。

 ここまでは、トレーニングの資料やテキストにもよく掲載されている内容です。私が個人的にトレーニングする際、最も重要だと考えていることがこの延長にあります。(図2)

図2

基礎体力をつけるために鍛える体そのものの適正な可動域の確保です。

背骨を中心とした各関節に適度な可動域を持たせることで、ようやく土台となる基礎のトレーニングを始めることができます。
どれだけ、重いものを持ち上げることができたとしても、適切な可動域が確保できなければ代償動作を伴い、怪我のリスクは高まるだけなのではないかと考えています。

背骨が自然なS字カーブを描き、その状態で筋肉の出力をトレーニングにより高めていくことこそが、わざわざ競技練習とは別にトレーニングをする意義となります。

競技においてトレーニングはあくまでも補助という立ち位置であり、メインにはなり得ません。

競技でのケガの確率を減らし、技術に生きるような体の使い方を学習するためのツールの一つです。

その補助となるトレーニングによって、ケガをしていては本末転倒ではないでしょうか。

姿勢不良や代償動作が出た状態で高重量のトレーニングやオーバーワークになんのメリットがあるのでしょうか。
トレーニング中のケガのリスクが高まるとともに、競技中の代償動作によるケガにもつながることが予測できます。

日常的に激しい運動をしない方(ここでは一般人と表現します。)でさえ、姿勢不良が原因により肩こりや腰痛、膝痛を引き起こしているのが現状です。

運動不足が原因だと言われることがありますが、運動すれば改善されるかといえば必ずしもそんなことはございません。

むしろその状態で運動することは私個人としてはお勧めしません。

しっかりと痛み・歪みを改善した後に、正しい動作を覚えることができる運動をお勧めします。

日常的に激しい運動を行う方(ここではアスリートと表現します。)であれば、一般人よりも大きな負荷が各関節・筋肉に掛かることが容易に想像できます。

アスリートだからといって姿勢が良い選手も決して多いわけではないのが現状です。

むしろ、変則的な負荷や習慣的な動作により、姿勢不良や筋肉の左右差が一般人よりも顕著に現れることも稀ではありません。

先ほど記載したピラミッド(図2)の下2層の項目を徹底して行うことこそが、アスリートとして先行して行われるべきではないでしょうか。

ただ、一つ述べておきたいのは、姿勢が悪かったり関節可動域が狭いこと自体が悪いことだとも思っていません。
関節可動域や背骨の椎骨が標準の範囲内でコントロールして動かせるということが最も大事だと考えています。

要は、いくら柔軟性があったとしても筋の収縮をコントロールできないようではただ緩い状態(ルーズ)ですし、関節を動かそうにも柔軟性により制限をかけてしまっている状態ではもちろん運動どころの話ではありません。

最低限の標準参考範囲内で適切にコントロールすることにより、自分の体を自由に動かす最低限の準備がようやくできるのではないでしょうか。

その方の運動レベルや身体能力により、トレーニングの優先度は変化していきます。

つまりそれぞれスタート地点が異なるわけです。

同じ競技をしていても、A選手は瞬発力に長けているが筋力自体が弱いけど、Bさんは筋力はあるが姿勢不良による肩の痛みが競技に影響を与えていたりなどというように、人それぞれに長所や短所は異なります。

基礎体力要素という面に着目した際、もちろんトレーニングにより長所をさらに伸ばすことも可能ですが、短所を改善していくことも可能です。

同時進行で伸ばしていくのがベストかと思いますが、シーズンによってフォーカスする項目を変えてみるのも一つです。心肺機能などであれば2ヶ月で大きな変化を得ることも可能です。
ここで改めて、前述した「トレーニングの目的」というものの重要性を再確認してもらうことができると思います。

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